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2007.06.03

豊饒

20070603025654.jpg
山の手線の車中、腰でジーンズを履きこなした若者が熱心に文庫本へ視線を向けていた。
ヒップ・ホップを踊り出しそうな人達がどういう本に囚われているのか、好奇心に駆られ覗いてみた。
ページの上部に印刷された本の題は『豊饒の海』
その数日後、友人が何気なく『豊饒の海』と口にした。
私はきちんと読んだことがなかった、意識的に無視してきた三島由紀夫。
些細な偶然に導かれ、手にとってみた。
『豊饒の海』第一部「春の雪」
「・・・・・海はすぐその目の前で終わる。
波のはてを見ていれば、それがいかに長いはてしない努力の末に、今そこであえなく終わったかがわかる。
そこで世界をめぐる全海洋的規模の、一つの雄大きわまる企図が徒労に終わるのだ。
・・・・しかし、それにしても、何となごやかな、心やさしい挫折だろう、波の最後の余波の小さな笹縁は、たちまちその感情の乱れを失って、濡れた平らな砂の鏡面と一体化して、淡い泡沫ばかりになるころには、身はあらかた海の裡へ退いている。」
全篇に亘って敷き詰められた噂にたがわぬ優雅な表現。
それを追認するために私は、同じ行を繰り返しなぞりながら夢中になって読み終えた。
輪廻転生のストーリーに対する興味がつのる。けれど、その文体は今の私にとっていささかくどい。
だから第二部「奔馬」を読む前に少しノンフィクションでも挟んでみようかと思う。

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